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完成見学会レポート|街中に建つ平屋の住まい〈広島市〉

こんにちは、代表の西江です。

もはや昨年晩秋のこと、タイムラグありなブログアップとなりましたが、開催させていただきました完成見学会について、ご来場いただくことが難しかった方のためにも写真多めのレポートを投稿させていただきます。

平屋を建築させていただいたのは、広島市中心部より車で15分程、アクセスも良く、商業施設、教育や医療機関も充実した人気エリアです。住まわれるのはご夫婦お二人です。

平屋を建築するには、どうしてもある程度の土地の広さと建築費が多めに必要となるため、分譲戸建てやマンションの割合が多く、広い土地の取得が難しい広島市内での平屋新築は希少です。アイトフースの施工実績としても数%と少ないのですが、望まれている方は少なくない印象です。

目次

平屋デザイン

当日は秋晴れの空、写真加工したかのような雲一つない好天気に恵まれました。

平屋の外観デザインの特徴としては、低い屋根によつて建物全体がより地面に根付いた印象となります。当然、屋根や雨樋を間近に見ることなりますので、フラット瓦と亜鉛チタン合金の樋が水平ラインを強調し、シンプルながら建物に重厚感をもたらしてくれています。このフラット瓦は、寄棟の四隅にある棟の部分がシュッとしているので瓦と言われないと気づかないほどシンプル、もちろん陶器瓦なので半永久的な耐久性をもっています。亜鉛チタン合金の樋は、人がぶら下がっても大丈夫なほど強靭で80年以上の耐久性があるといわれています。これらの建材ほどシンプルでありながら重厚感を感じさせてくれる素材は、あまり見あたりません。

右手の木で造られている部分は、バイク置場+物置スペースです。生活が始まるとどうしても雑多なものが外に見えてしまいがちですが、このような一体化されバックヤード的物置を設けることにより、シンプルで重厚な家の佇まいがより強調されます。

車好きな人が車やバイクを見て楽しむのと同じように、年月を経ても住まう人が外観を眺めて「いい家だな」って…しあわせ気分に浸れること。倉敷の美観地区のように永く大切に維持してもらえるよう、本物素材に拘ってシンプルで機能的に暮らせる住まいがアイトフースデザインだと考えています。

パッシブデザイン木製トリプルガラス窓

南面ファサードは、冬季時に太陽光をできる限り多く室内に取入れ、太陽高度が高い夏季は、計算された軒の出が日差しの侵入を遮るパッシブな設計となっています。基本的に四季があり、雨の多い日本の住まいには「軒の出」はとても重要です。

白く塗装された木製トリプルガラスの窓は、EU製で世界最高レベルの断熱性能を有しています。紫外線も約70%カットできる窓ですが、夏季の西日や照り返しを遮蔽するためにタープなどの日除けは必須です。日射遮蔽ができていないと設計計算上で高性能な数値を出せたとしても、その性能を生かすことができないばかりか逆に熱がこもりエアコンの効きが悪くなり、不快な住環境にさえなってしまう可能性があります。日射遮蔽ができてこそ高性能なポテンシャルを引き出すことができるのです。

こちらのお住まいも軒樋に取り付けて、更にタープをフェンスに取付がしやすい設計になっています。一般的には、タープなどは住んでから施主さんが考えればよいということになっている場合が多いと思いますが、意外と植栽が邪魔したりタープを固定するところがなかったりで、適切な大きさのに日除けをベストな位置に設置することは意外と難しい場合が多いのです。なので、日除けは一例ですが庭外構計画とも関係してくるというわけで、家具と家と庭外構の同時計画が必要となるのでトータルプランが大切ということです。

外壁は、南九州の火山灰(シラス)を原料につくられたサスティナブル素材「そとん壁」の塗り壁を標準採用しています。より汚れにくく重厚感を持たせるために「かき落とし」という凹凸ある左官仕上げで施工しています。
(そとん壁を採用したアイトフース20年超の施工事例をご覧いただくことが可能です。)

 ∟そとん壁視察ブログこちら

家具計画

家具計画も設計の一つとして同時進行することが基本です。

アイトフースでは、家の大小にかかわらず、殆どのお住まいで2m以上のソファやダイニングテーブルをゆとりあるサイズ感で置けるように設計配慮しています。一般的な、住まれてからのアンケートによると、「壁に着けてソファを配置する選択肢しかない」「大きなテーブルを選びたくてもサイズが窮屈で置けない」「コンセントや照明との配置が合わず思い通りのインテリアにならない」などの不満が少なくないようですが、家の設計と同時に考えないとそれらの問題を解決することはムリなのです。

こちらのお住まいでは、アイランド的にリビングの中央に2メートルぐらいのソファを配置することも可能ですし、ソファなしでギャッベを敷いてクッションソファなどで床に座るのも良いかと思います。また、テレビ台や勉強机などのカウンターは、建築工事の中で造らせていただくことが殆どです。写真のように壁掛けとすることでお掃除がしやすく浮遊感がでるのでお勧めです。

全棟に漆喰塗り壁を採用する理由

室内壁材は、十数年前からドイツ製漆喰(塗り壁材)を採用し、全棟室内全てを塗り壁にすることがスタンダードとなっています。100%天然原料であることは、ビニルクロスによる室内汚染をなくすだけではなく耐火性(火災時の燃え広がり)などのこと、アロマが広がらないほど家庭の臭いを消臭してくれること、メンテナンスの容易さや将来のリフォーム費用のことを考えてもコストパフォーマンスが高いので、(30~40坪程度の家中全て塗装しても60~100万円程度の差額です。)窓や断熱性能などと同じくプライオリティを最上ランクとして考えるべきなのがこの塗り壁仕様です。

また、写真からも感じとっていただけることと思いますが、何とも柔らかなテクスチャーではありませぬか?鉱物からできた自然素材ならではの質感は、独自の塗り手法で柔らかに仕上げられます。朝陽から夕暮れ時までの室内への光の入り方の変化にともなって壁の表情(手仕事)が移ろいを見せてくれ、夜の灯りもこの上ないインテリアの脇役としてシンプルに温かみをを生んでくれます。

フルオーダーキッチンで家事効率とクオリティアップ

シンク一体で作り上げられたカウンターは、ホットバイブレーション仕上げ(特殊加工を施した5㎜無垢ステンレスSUS304)で存在感がハンパないです!といってもマットで静なる主張とでもいいますか、クール&ホットの絶妙なかっこよさが素敵すぎです!

シンク右横には食器洗い機がドア中にビルトインされています。吊戸収納も使い易い高さに設け、ドア材やカウンター、換気フードに至るまでどれもお手入れが最高に簡単な機種を選んでいます。壁面タイルも一手間かけて、目地なし突付けで施工していますので水スプレーとマイクロファイバークロスで簡単お手入れが可能で、見た目も良くてお掃除楽な仕様となっています。

写真には写っていませんが右手前にはドイツ製オーブンも設置され、料理を効率よくしかもクオリティアップした調理ができるようになっています。住まわれてからスタッフが家庭訪問し、使い方をお伝えしています。「なぜ海外製なのか日本製が一番よいのでは?」などと不安や疑問に思われることも多いかもしれませんが、その辺りは住環境の先進国である欧米をお手本にしなくては生活のクオリティアップが望めないところです。

イベント「住まいづくりの勉強会」でも詳しくお伝えしていますので参加いただければ幸いです。

「和と北欧」の相性のよさをお伝えしたい

ダイニング横に設けられた和室は約4帖ですが、吊り押入れに地窓があり玄関横の庭木を楽しむことができます。ジョージ・ジェンセンの花器やアルネ・ヤコブセンデザインの掛時計もしっくり馴染んでいますね。因みに座卓もデンマーク製です。

北欧、特にデンマークのデザインはシンプルで機能的なスタイルで知られています。このスタイルは、日本の伝統的な美意識に通じるものがあり1960年代ぐらいにデンマークのデザイナーたちは、日本の美学や哲学からインスピレーションを受け、独自のデザインを生み出してきました。例えば、日本国内の至る所で見かけるようになったデンマークの「レ・クリント社」の照明器具は、日本の折り紙からの発想で製品開発され日本の美意識や技術から影響を受けている代表的事例の一つです。

このように、日本とデンマークは民藝やデザインの分野で深い関係があります。両地域の文化交流が、創造的なインスピレーションを生み出し続けているので「和と北欧」は相性がよいのは当然のことなのです。

家事時間を減らすだけではなく、家事をクオリティアップさせる設計

日々、何度か使う洗面スペースは、シンク左の天井までの収納やカウンターとミラーを大きめに設けることでゆとりマインドが生まれます。

脱衣&ランドリールーム(右写真)は、乾燥機「乾太くん」、ユニットバスにはスチームサウナが設置されています。スチームサウナは、美容と健康に効果的そしてお掃除がほとんどなくなるという秀逸さは何度となくお伝えしていますので、ここでは裏技をお伝えします。それは衣類を入浴させてスチームでケアすることです。最近、国内家電メーカーからスチーム機能を備える洗濯機が発売されたようですが、ミーレやAEGなど海外洗濯機には以前からあり珍しいものではありません。セーターや上着など毎回洗わない衣類の臭いやしわ取りにスチームモードが使えますがこちらのスチームサウナ室内であれば洋服をハンガーに吊るした状態でスチームケアできるので、10分程度入浴させれば洗濯やクリーニングの回数も減り洋服も長持ちさせることが可能となります。

これから住まいづくりをされる方へ

これから住まいづくりをされる方へメッセージをお伝えするならば、「できるだけ多くのリアルな家を見ましょう」と言いたいです。

多くの方がWEBやSNSなどで気になる住宅会社などを知ることと思いますがそのWEBの施工事例やブログをできるだけ多く見ていくと、ある程度、好みの住宅が何社か絞られてくるかと思います。その住宅会社のモデルハウスのみではなく、リアルに建築している「完成見学会」にできるだけ多く参加しましょう。土地を探している方、計画がまだ先の方もとにかく、実際に注文されてのリアルな施工例である「完成見学会」に参加されることをおすすめします。

多くの完成見学会を体験し、各住宅会社の説明を聞くことで住宅に対しての知識が増え疑問も湧いてきます。特に着目する部分は住宅という多額の投資をして「今までの暮らしの問題点をどう解決できて生活がどう変わるのか」そして「どのように暮らしたいか」ということだと思います。そうすることで、家族の住まいづくりの方向が見えてくることと思います。多くの人が一生に一度の住まいづくり、納得し後悔したくないはずです。そのためにも時間をかけて多くのリアルな完成見学会に参加されてください。

そして最後に、日本の現状として車やファッション、野球やサッカーなどのスポーツ、その他様々な分野で欧米から学び日本が世界のトップレベルになってきたことからも。住宅の分野でも同じく住環境先進国の最先端住宅事情を知り、住宅づくりに取組むことが必要だと思うのです。

【近日開催の完成見学会】

家事時間1/2設計の家
 場所 大竹市西栄付近
 日程 2024/2/16(金)~2/20(火)
 ∟ 詳細は こちら

庭と繋がる暮らし
 場所 岡山市北区中井町付近
 日程 2024/3/8(金)~3/9(月)
 ∟ 詳細は こちら