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神勝寺 禅と庭のミュージアム

Publish :
2024.05.17
Category :
ブログスタッフブログ

こんにちは。設計の廣江です。

あっという間に5月に入り、新緑の季節になりました。GWはいかがお過ごしでしたか?私は、以前より見学したいと思っていた『神勝寺 禅と庭のミュージアム』(福山市)に行ってきました。さまざまな体験を通し、「禅とはなにか」を感じることをコンセプトとしたスポット。心身共にリフレッシュをすることができとても有意義な時間を過ごすことができました。

先ず目に入った建物が『松堂』という、藤森照信さんの設計・建築された社務所です。手曲げ銅板で葺いた屋根に曲がった柱が違和感なく一体化していて、自然に溶け込んだ姿が印象的な建物。建築されてからは10年くらい経っているようで、銅板が燻んで良い色になっています。

奥に進むと、全体を木で覆われたアートパビリオン『洸庭』が見えて来ました。壮大な建物なのですが、宙に浮いたような浮遊感があり、柱の鉄骨と建物の木のコントラストが何とも言えません。また、木で覆われた部分は、伝統的な“こけら葺き”を応用されているそう。やはり本物の素材は、風合いが増し経年美を感じられるものだと改めて実感できます。


ちょっと休憩で、茶室に。秀吉公も訪れたとされる残月亭の古図を基に、中村昌生氏の設計により再現された建物のようです。室内はまさに侘び寂びを感じる空間で、座ったときの視線の先には緑が揺らいでいます。時間帯によって、入る光の違いで空間の印象も変化するのだろうなとつい想像させられました。(茶室の写真を撮影し忘れてしまいました…)


境内には浴室もあり、一般の参拝者も入浴が可能です。禅僧にとっては入浴も修行のひとつで、心と体の垢を落とすためにかかせないものとされているようで、ここでもそんな禅を体験できるのです。

私もすかさず入浴してきました。そこから見える木々が光に照らされていてなんとも贅沢な空間で…何時間でも入っていられそうです。

どこまでも庭と建物をゆっくり観賞出来る場で、気が付いたら4時間も境内に滞在していました。質素さや閑寂さを大切にし、庭との繋がりに重きを置く日本の美の心を実感できるよい機会になりました。春夏秋冬、それぞれの季節で感じられるものが違うのでしょう。是非また別の機会にも訪れたいと思います。