J39が愛され続ける理由〈後編〉
こんにちは、アイトリブの藤原です。
「J39が愛され続ける理由〈前編〉」の続きです。お読みでない方はぜひ前編から読み進めていただけると嬉しいです。
J39といえば、別名「People’s Chair(人々の椅子)」として本国デンマークでも親しまれている椅子。ボーエ・モーエンセンが1947年にデザインをして75年以上が経ちますが、今も途切れることなく作り続けられています。
なぜJ39は多くの人々に愛され続けているのか。後編では椅子の構造や時代に左右されない佇まいにも触れながら、心つかむデザインを紐解いていきます。
目次
座り心地、使い勝手のいいデザイン
モーエンセンのテーマは、「盛る」のではなく「削る」デザイン。
一見作りやすくなるのかと思いきや、削るということは要素が減るだけでなく材も細くなるため、耐久性や使用感の面でも長く使い続けるためには構造の勉強が必要になります。
人間の体を横から見るとゆるやかに湾曲したS字形になっていますが、J39は深く腰掛けるとそのラインにぴったりと沿うようなデザインになっています。
背板は真っすぐな後脚に対して少し角度をつけており、後ろに傾斜した座面はコンパクトながら左右・前後の座枠に高低差をつけることでなだらかに包み込むような形状に。座ったときに自然と体を預けることができ姿勢が正されるのは、緻密な計算から成るデザインだからこそです。
ミニマルで座り心地の良い椅子は、狭いアパートの中でとても活躍しました。座面が広くなくても快適で、コンパクトなサイズ感かつアームレスだからこそ複数脚置いてみんなで集うことができたのです。まさにFDBモブラーが願っていたデザインが叶った瞬間でした。
使う時代や場所を問わない
▴ 納品事例(広島市安佐南区/N邸)
時代を汲んだデザインは、75年以上の時を経て今もなお愛され続ける椅子となりました。
機能を押さえながら簡素で美しいフォルムは、主張しすぎることなくさまざまな空間に対して馴染む良さがあるからこそ、きっとこれからもタイムレスに受け継がれ続けていくと思います。決して華やかではありませんが、コツコツと真面目に取り組み続けたモーエンセンを体現したかのようなJ39。実はアイトフーススタッフの自宅で最も多く使われている椅子です。
▴ 納品事例(東広島市/H邸)
当初はダイニングチェアとして発表されましたが、食卓にとどまらず本国では学校やカフェなどの場面で活躍しています。実際にアイトリブでJ39を購入されるお客さまの使い方もさまざま。姿勢良く使うことができるため何かをするときに集中しやすく、食事はもちろんデスク用の椅子として使われる方もいます。
▴(左)建築家夫妻エヴァ・ボ・ガイスラーとニコラ・アントニエヴィッチの自宅にてステンレススチールのチェアとミックスされたJ39 / (右)デンマーク国立映画学校ディレクター ティーン・フィッシャーの自宅に置かれたヴィンテージの青いJ39※廃盤色
また潔い佇まいは、テイストを問わずインテリアコーディネートに取り入れやすいです。木の素材感を活かしあたたかみを演出したり、色を入れた直線的なラインは明確で空間に対してメリハリを利かせたりすることもできます。
▴オーフス建築大学
一般家庭だけでなく、例えば食堂やレストランのようなパブリックな場面でたくさん並べられた姿は壮観です。J39が持つ線の力を感じます。
モーエンセンの美意識が宿る新たなJ39
そんなJ39が、新たな装いで発表されました。モーエンセンが家族とともに過ごしたカントリーハウスからインスピレーションを得て採用された5色。
日本への強い憧れを持っていたといわれるモーエンセンが飾っていた大きな赤いうちわやワークスペース前に飾っていた深く鮮やかな青いアート。梁の塗装に使われたあたたかみのあるグリーン。海岸の小石やデンマークの冬空を思わせるマットなグレー。そして経年変化が美しいヴィンテージ家具のような飴色。
モーエンセンが愛した控えめながら豊かなカラーパレットの追加で、普遍的でありながらより自分らしい選択ができるラインナップとなりました。
岡山のAITOLIV+では、4/16(日)までのキャンペーンに合わせてさまざまな仕様のJ39をご覧いただけます。新色のヘリテージレッドとペブルグレーも展示中です。
物にあふれた現代の中でこれから先も本当に残したいものをお探しの方へ、自信をもっておすすめできる椅子です。実物を見て触れて、座ってみないとわからないこともあるかと思いますので、気になった方はぜひ気軽にお立ち寄りください。
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参照元
・スカンジナビアン・リビング ホームページ
・FDBモブラーJPオフィシャルウェブサイト
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