見学会レポート|借景とともにパッシブデザインな住まい〈倉敷市〉vol.1
- Publish :
- 2022.02.04
- Category :
- ブログシャチョウブログ完成見学会・イベント住まい
倉敷市にて完成見学会
イベント開催も困難な昨今ではありますが、お施主様のご厚意により倉敷市にて完成見学会を開催することができました。
このような時期に、心よく承諾いただきましたことを深く感謝申し上げます。
あいさつに来て下さった施主さんもとても感動して喜んで下さって、こちらとしても嬉しい限りで「この仕事して良かった」って思うとともに、現場や設計担当者の対応力の高さを感じとれる瞬間でもあります。
今回は、岡山の方限定一枠一組でのご案内でしたので、少々ボリュームある見学会レポートとさせていただきます!
閑静な住宅街にある南北に長い敷地(約100坪)のうち16坪だけを使った総2階建て(延床約32坪)。敷地の形状や近隣との関係性などに配慮しながら東西に長くパッシブデザインに理想的な配置です。
また、太陽エネルギーを効率よくコントロールしながら、桜並木の借景も含めた内外のつながりを生み、より魅力ある住まいとなるよう、大開口木製サッシと大きなテラスを設けています。
外から家を楽しみ、室内から庭と借景である桜並木を楽しむゆたかな住まい
屋根は、定番化しているエボニーフラット瓦に亜鉛チタン合金の雨樋を採用し、ただ精悍な印象を与えるだけではなく長期間(例えば30年間)において最もメンテナンスコストが抑えられる仕様となっています。(因みに亜鉛チタン合金の雨樋は耐久性が80年以上といわれています)
南側隣地の小高い丘(高さ2~3m)に見事な桜並木があり、窓から見える借景は、手が加えられていない自然のグッドロケーション。
その丘からは、通常見ることができない目線から家を眺めることも可能です。
車好きな方が車を眺めて楽しむように家を眺めて楽しんでいただける、格好の敷地条件でもあります。(パーティーションなど庭外構工事が未完成です。)
高断熱高気密+パッシブデザインである理由
住宅性能値を上げるだけでは、せっかくのポテンシャルを活かしきることができないばかりか、不快になることさえも考えられます。
冬は良くても、夏は日射が室内に入りオーバーヒートし、エアコンが効かないということが十分に起こりうるのです。
(上)計算された庇の出幅は、真夏真冬の快適性に影響が大きい
アイトフースの設計セオリーでは、なるべく西側の窓を無くすこと、又は遮蔽可能とし、太陽高度の高い夏季の陽射しを遮れるよう、古来の日本家屋のように庇や軒を深く設えています。
庭外構工事の一部であるパーティーションは、道路からの視線を遮るだけではなく、ターフ(日除け)を取り付けてテラスを快適に使えるようにし、また植栽は、配置や樹種によって日除けとしての役割を果たすこともあります。
プライバシー確保や植栽を楽しむと同時に、夏季の不快な西日をできる限り遮るために計画されます。
そもそも、日除けがないとせっかくのテラスも使いづらく、多くの場合で使用頻度が激減してしまいます。
ここまでしないと高性能住宅を活かしきることはできません。
北欧や北海道のような寒冷地では、暖房さえきっちりすればほぼ一年中快適に過ごせますが、夏は暑さも厳しい日本(特に西日本)では夏の対策も重要になってきます。
古来日本建築である“庭屋一如”という考えかた
意外かもしれませんが家の性能を活かす為に、外構計画や庭と関係性がでてくるわけです。
「家のみだけではなく庭外構工事も同時に計画しなくてはいけない」という理由がこういったところにもあり、アイトフースでは、古来日本建築の考え方である“庭屋一如”(建築と庭が一体になる)という考え方が、どの住まいにもきっちり反映させ設計・施工をしています。
ただ、家の性能数値が良いというのは単に「家」というモノ。
その性能を暮らしに活かすコトができてこそモノコトが成立する。
温熱環境は快適性に大きく影響しているのは確かですが、暮らしのゆたかさということでは性能数値だけでは表すことができないわけで、様々な要素が加わり関係性が生まれて快適な住まいといえるのだと思います。
先ずは、きっちり暮らしに向き合ってくれる住宅会社や設計者に出会うことが、住まいづくり成功への第一歩です。
久しぶりすぎるブログで長文になりそうなので、続きは次回へ。
Author nishie