注文住宅は、オーダーキッチンでデザイン
解放されたキッチン計画
住宅を新築やリフォームする時、相変わらす高い関心を寄せられるのがキッチンです。特に日本は、四季ある気候による恩恵で食材が豊富、近年のネット環境などにより、食文化が世界のトップレベルであることが分かって来ました。日本の人の多くは、食べるときにも味覚だけではなく、五感の全てを総動員しその料理を感じているはずです。家族のために料理を作る人の創造力、食べる人のこと、そしてキッチンがリビング化していることを考えると、それ相応のキッチンが必要です。もちろん高級というのではなく、使う人にとって自由に解放されたキッチンとなるべきだと思うのです。
住宅計画全体に影響するキッチン
こちらのM邸のキッチン計画は、全体計画を成立させるのにオーダーキッチンであることが大きく影響した事例です。1階の床面積の15坪にリビングと和室があり、普通にダイニングテーブルを設けるとなると小さなサイズにするか、キッチンを大幅縮小するか、狭く感じながら住まうか、ということになるのですが、アイランドキッチンの高さでダイニングテーブル兼用とすることで全てが解決し、連続性あるインテリア空間で広々とお住まいいただいているという好事例です。出来上がれば何でもないようですが、全てカウンター椅子というところが施主さんにとっては抵抗あるところ、キッチン高さに合わせる椅子自体も種類が少ないのが現状ですので椅子も同時に提案させていただかないと納得していただけません。何かを潔く引き算する(ダイニングテーブルが不要)ことで、スペースも有効に使え、そのぶん充実した設備を備えたキッチンで、よりゆたかさが感じられる住まいとなっているM邸なのです。 M邸施工事例はこちら→10年がかりの住まいづくり
アイランドキッチンが実現しにくい理由は、センターフードや大きなカウンターなどの価格が高いこと、より広いスペースが必要になることなど。ダイニングテーブルを兼用すること、照明やフードを現場で作ることでコストダウンし魅力的なキッチンに仕上がっている。
「幸せ」を感じるために(機能する)デザインがある
以前、少人数の会社でキッチンまで設計するのは大変だから仕事量を減らそうということで、あるメーカーのシステムキッチンも検討したことがあったのですが、量産する中で、どうしても固定概念に縛られた最大公約数的な考えが根底にあり、できないことが多く、可能な事も驚くほど高価になってしまうなど、結局かみ合わず断念し現在に至っています。国内メーカーのシステムキッチンは、一見べんり機能が多く家事がラクになりそうに思いがちですが、本質的な「調理」と「かたずけ」という肝心の機能が欠落してしまっています。料理する人の創造力を高め、解き放つキッチンを造るためには自社で設計施工するしかないという結論です。そして機能を追求していけば、おのずと住宅と一体化した美しいキッチンができあがるのです。「デザインはどう見えるかではなくどう機能するか」スティーブジョブズの深い意味の格言ですが、それは最終的に、そのデザインが家族にとって「幸せ」を感じることにどう役立っているかだろう。